人材教育 2011年8月号 掲載記事

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人材教育 2011年8月号 掲載記事

ASTD2011 International Conference and Expoレポート

【リーダーシップ開発は個人の内面と向き合うアプローチへ】

取材・文/永禮弘之 エレクセ・パートナーズ代表取締役、ASTD日本支部理事、リーダーシップ開発委員会委員長

ASTD(米国人材開発機構)主催の「ASTD International Conference & Expo」が今年も5月22日~25日まで米国フロリダ州オーランドで開催された。「Learning to Lead(リードするための学習)」をメインテーマとし、リーダーシップ開発についてのセッションが多く用意されていたという。ASTD日本支部理事、リーダーシップ開発委員会委員長の理事を務める永禮弘之氏の視点でその一部をレポートする。

-グローバルレベルの最新情報が一挙に集まる

ASTD(American Society for Training and Development:米国人材開発機構)の最大のイベントが年1回のASTD国際会議だ。今年で67回を重ねるこの会議は、初夏の陽光まぶしい米国フロリダ州オーランドで、5月22日から25日まで開催された。4日間の会期中に300近くのセッションと342社に及ぶ出展会が開催され、人材開発・組織開発の情報収集や議論、ネットワークづくりを目的に、世界70か国以上から8500名(うち米国以外から2500名)の参加者が集まった。 米国外の国で参加者が多いのは韓国(451名)、カナダ(214名)、ブラジル(146名)、中国(128名)であり、続く日本は119名。日本の参加者は、人材開発・組織開発に関わる企業の実務者、研究者、コンサルタントが中心だ。 会場内には、「グローバルビレッジ」と名づけられた各国の参加者の交流ラウンジが用意されている。そこには、国内外を問わず他者と意見を交わし、グローバルの溢れんばかりの情報を得て学びを生み出そうとする数多くの参加者の姿があった。

-メインテーマは「リードするための学習」

ASTD国際会議では、毎年メインテーマが掲げられる。今年のメインテーマは、「Learning to Lead(リードするための学習)」だった。このテーマには、「学習は成功のカギであり、最も成功する組織は学習というアプローチを通じて社員をリードしている。この国際会議で成功に向け、学習についての優れた情報やベストプラクティス、ツールを得てほしい」という主催者のメッセージが込められている。
 次に、主要テーマである「セッション・トラック」を紹介しよう。トラックは、9つに絞られており、300以上のセッションはこのテーマで分類されている。

【セッション・トラック(主要テーマ)名】
Organizational Effectiveness(組織の効果性)
Learning as a Business Strategy(ビジネス戦略としての学習)
Developing Effective Leaders(優れたリーダーの開発)
Learning Design & Facilitation(学習デザインとファシリテーション)
Learning technologies(学習テクノロジー)
Measurement, Evaluation, and ROI(測定、評価、ROI)
Performance Improvement(パフォーマンスの向上)
Personal Skills Development(個人のスキル開発)
Talent Management(タレントマネジメント)

したがって、この9つのトラックが、今年ASTD国際会議が注目する人材開発・組織開発のトレンドといえる。
 昨年は、人材開発のコンセプトや調査、開発手法が「Developing People(人々の開発)」というトラックに広く集約されたが、今年は再度リーダーシップ開発を主軸にしたトラック「Developing Effective Leaders(優れたリーダーの開発)」が切り出され、リーダーシップ開発の重要性の高まりを感じた。

-組織アプローチに替わる「個人」「社会」アプローチ

具体的なセッション内容の紹介に入る前にセッション全体を俯瞰し、今回のASTD国際会議で打ち出されたコンセプトの2つの大きな流れを捉えてみよう。
1つの大きな流れは、組織開発という組織単位のアプローチを超えて、組織に所属する一人ひとりの内面に根ざした個人単位のリーダーシップ開発や学習に焦点を当てるセッションが多く見られたということだ。組織変革、組織成果創出において人を効果的に動かす働きかけは、「組織全体に対してよりも、個人一人ひとりに対して」という認識が高まっているのだろう。
初日の基調講演では、マーカス・バッキンガム氏(元ギャロップ社コンサルタント)が、個人がそれぞれに持つ強みを最大限に生かし、自分に合ったリーダーシップを発揮することが組織の成功につながると説いた。また、翌日の基調講演では、ダグ・コナント氏(キャンベルスープの会長兼CEO)が、個人の生き方や考え方に重要な影響を与える瞬間を、リーダーが組織の中でつくり出すことの必要性を主張した(詳細は後述)。
また、その他にも、個人間の信頼が成長のスピードを上げるというスティーブン・コビィー氏の理論(後述)や、個人の脳の反応に焦点を当てた「NeuroLeadership理論」のセッションなど、個人の内面にアプローチするセッションが目立った(後述)。その一方、一時期注目された、AIやダイアログ、プロジェクトマネジメントのような組織開発・チェンジマネジメントに関するスキル・手法のセッションはあまり目立たなかった印象がある。
さらに、もう1つの流れは、ソーシャルラーニングを扱うセッションが、確固たるポジションを得たことだ。
昨年のASTD国際会議は、Facebook、Twitterなどに代表されるソーシャルメディアの劇的な広がりが、インフォーマルラーニングを中心とした学習に与える影響を示唆したエポック的な大会だったが、その流れは今年も続いている。その流れの最新事情としては、個人のライフスタイルに適応した学習形式として、スマートフォンやタブレットなどを利用して社員が会社提供のコンテンツを学ぶ「モバイルラーニング(M-Learning)」の推進がASTDのCEOから提唱された。
この2つの大きな流れは、「組織対個人」、「組織対社会」の2つの関係性が、人材開発・組織開発のアプローチの切り口として注目されていることを示している。ナレッジワーカーが増え、ダイバーシティが進むにつれ、個人はますます性別や世代など属性で一括りに捉えにくくなる。その結果、組織は集団に対しての働きかけが難しくなっている。同様に職場学習も組織内に留まらず、組織外コミュニティをフィールドとして個人が自律的に進め、得た知恵や知識を仕事に生かすスタイルが主流になりつつあるのだ。

-リーダーシップ開発の動向4つのキーワード

では、具体的なセッションの内容を見ていきたい。メインテーマが「Learning to Lead(リードするための学習)」のためか、基調講演も含め、リーダーシップに関するセッション数が例年に比べて多かった。そこで、今年のリーダーシップ開発関連セッションにおけるリーダーシップ開発の動向を、「個人」「組織」「市場」「社会」の4つの層に整理して紹介する。それぞれの層でリーダーシップ開発の焦点となったのは次の4つのキーワードだと考える。

-Individual Insight(個人の内面)への関心の高まり

先述の通り、従来の資質や能力、コンピテンシー(行動特性)といった組織全体で形式知化できるアプローチ手法とは異なり、個人のパーソナルな経験、脳の反応といった個人の内面に焦点を当てたリーダーシップ開発の考え方が取り上げられ、参加者の関心を集めていた。
まず、基調講演ではすでに少し紹介したキャンベルスープ社の会長兼CEOダグ・コナント氏と、主に米国大企業を対象にしたエグゼクティブ・コーチを務めるメテ・ノーガード氏が「タッチポイント(Touch Points)」について語った。タッチポイントとは、人生の中でその後の生き方や考え方に大きな影響を与える一言が生み出すふれ合いの瞬間。人々はタッチポイントによって、抱えている課題に対して自身の可能性を見出し、コミットメントを高められるという。コナント氏の講演内容を主に述べよう。
氏は、まず自身のタッチポイントを語り、その効力を示した。コナント氏の場合は、数年前に交通事故に合い、10数時間にわたる大手術が終わって目覚めた時、枕元にいた妻が発した“I'm here”という言葉がタッチポイントとなり、その後の氏の生き方を変えたようだ。事故以前は、米国経営者にありがちな株主至上主義、四半期業績至上主義の厳しい経営者だったのかもしれない。しかし今は大企業のトップを務める傍ら、組織を越えてエグゼクティブのリーダーシップ開発をボランティアで支援しているらしい。
そして、氏自身が経営者として心血を注いでいるキャンベルスープ社の業績回復、組織風土改革の事例を通じ、タッチポイントを生み続けるリーダーの姿勢を述べた。
リーダーにとっては、組織の人々の内面にいかに“タッチ”し、一人ひとりのコミットメントを引き出すかが重要になる。彼曰く、組織におけるタッチポイントは、「リーダー本人」「周囲の人たち」「実際の取り組み課題」の3つの要素が重なり合って生まれる。そこでは、リーダーの行動の意義は、必ず他人との関わり合い、交流の中で見出される。
したがって、リーダーシップにとって大切なのはリーダーとフォロワーの関係であり、リーダーは、課題に対しては厳しい意思・覚悟で臨み(Tough Minded)、人に対しては優しい心で接する(Tender Hearted)という両者の両立が求められる。そして、そうした関係性の中でのフォロワー個人の内面の変化が、組織に大きな影響を及ぼすことも説明された。
聴衆が何より感心したのは、コナント氏自身の実践だ。経営トップとしてグローバル企業の業績回復に追われる中、Tender Heartedで自ら部下に優しく声をかけ、タッチポイントを1日に70回以上生み出し、自らが信じるリーダーの行動を実践し続けていることである。
コナント氏とノーガード氏が語った内容は、『Touch Points』のタイトルで、米国ではすでに書籍が出版されており、日本語訳での出版が望まれる。
マーカス・バッキンガム氏による別の基調講演も、強み(Strength)という個人の内面に焦点を当てたものだ。バッキンガム氏は、ギャロップのコンサルタントを17年間務め、職場や人生へのエンゲージメントがテーマの彼の著書は、これまで370万部以上売れている。日本でも、彼の著書『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう』(日本経済新聞社/刊)や、アセスメントツール『ストレングスファインダー』に触れた人は多いのではないだろうか。
彼は一貫して個人の強みを活かすことを主張しており、この講演ではそのための新たなアセスメントツール「スタンドアウト(StandOut)」も紹介された。パフォーマンスの改善において、強みの強化と弱みの克服、どちらに時間をかければ成功するのか? という問いに対しては、45%の人が前者を、55%の人が後者を選ぶ。しかし実際には、その人が一番得意なところを伸ばす方が成功につながる。なぜなら、得意分野は他の分野よりも早く学習でき、より創造的、協創的、革新的、洞察的になりやすく、高いレベルに向けて強化しやすいものだからだ。また、組織においても、個人の独自の強みを活かすことがイノベーションにつながり、組織パフォーマンスの向上に貢献すると彼は話している。
リーダーシップ開発においては、組織のリーダーシップコンピテンシーを満たすためのギャップアプローチのスタイルが取られることが多い。そこでは一律に、求められている知識やスキルを一定のレベルに引き上げるプログラムの提供がメインになる。しかし、個人個人が自分の強みを活かすためのリーダーシップ開発では、自己分析や内省での気づきを基点にした、学習に対する当人の自律が求められるだろう。
「個人の内面」という視点ではその他に、リーマンショック後の業績不振による組織風土の荒廃や、経営者の不正発覚に対する不信感増大などを受け、個人間の「信頼」の重要性と回復をテーマにしたセッションがいくつか見られた。
スティーブン・コビィー氏(コビィー・リーダーシップ・センターCEOでフランクリン・コビィー氏の子息)の「The Speed of Trust(信頼がもたらすスピード)」をベースにしたリーダーシップ開発のセッションでは、リーダーが信頼を確立できるようなものの見方、話し方、行動の仕方を身につけるトレーニングが紹介された。 信頼が低い状態は、人生において、また家族を含む組織において最大のコストとなり、意思決定やコミュニケーション、人間関係構築などすべてのスピードを下げる。したがって、リーダーは、社員や顧客、社会から自身の「誠実さ」「能力」に対し高い信頼を得て、協力関係のもとにビジネスのスピードを上げなくてはならない。グローバル経済がもたらす市場対応のスピード化の1つの解決策が、リーダー個人の「誠実さ」「能力」という個人の内面に結びつくことを認識したセッションだった。
もう1つ、特筆すべきは、リーダーシップ開発のセッションに、脳科学の分野が登場したことだ。講演者のNeuroLeadership Groupは、今回、NeuroLeadership(脳科学をリーダーシップ開発に応用した手法)をテーマに、5つのセッション(「意思決定・問題解決」「プレッシャー下の感情コントロール」「他者との協働」「変化への対応」「脳科学を活用した組織運営」)をシリーズで行った。アプローチの新しさからか、各セッションはほぼ満員状態だった。筆者は、「変化への対応」のセッションに参加したが、現時点では「変化に対する脳の反応を科学的に解明した」段階で、「どのように組織変革において脳科学を応用するか」という点まではあまり具体的に言及されなかった感がある。
それにしても、最近はリーダーシップ開発の関心が、ついに脳の分野にまで及んだかという印象を受けた。

-Diversity&Inclusion(組織における多様性と求心力)

 市場のグローバル化が進み、組織の多様性が広がる中、ASTD国際会議でもDiversity&Inclusion(組織における多様性と求心力)関連のセッションは引き続き見受けられる。
ダイバーシティ活用で最も大切なことは、バラバラな価値観や能力を持つ人をつなぎとめる共通のビジョンとゴールを示して、組織の求心力を高めることだ。その意味で、直接にDiversity&Inclusionを謳ってはいないが、ビジョンについて毎年語り続けるリーダーシップ論の重鎮、ケン・ブランチャード氏の講演を取り上げたい。
講演の内容は、氏の著書『ザ・ビジョン』(ダイヤモンド社)の要旨を、事例(サウスウェスト航空、ディズニー、ハーマンミラー、サンディエゴ市)とユーモアを交えて語ったもの。ビジョンの3つの柱(①目的・存在意義、②将来の方向性、③価値観)について、「What(何)ではなく、Why(なぜ)に応えられる目的か」「示すべきなのは、そこに至るプロセスではなく、明確な最終ゴール」「価値観として大まかなガイドラインを示す」など具体的に押さえるべき点を披露した。そのうえで、氏の持論である「サーバント(奉仕型)リーダーシップ」には、リーダーとしての側面であるビジョンを示す役割、サーバントとしての側面であるビジョン実践の役割があることを示した。

 

-Global Expansion(市場のグローバル化)とASTD国際会議

 この数年、ASTD国際会議では、グローバル企業の人材育成といえば、米国本社のグローバル企業の事例が主だったが、ここに来て、韓国のヒュンダイ・キア自動車のパフォーマンス向上への取り組み、中華電力インド(CLP India Power)におけるリーダーシップ開発、ダノン・ポーランド営業部門の組織変革など、アジア、中東、中南米、東欧など世界各地の企業が自社の事例を発表するようになってきた。今回、「グローバルボイス」と題された米国以外の発表者のセッションは、47件に上る。
また、会場の様子もここ数年とは一変している。以前の米国外企業のセッションは、正直、参加者の入りはあまり良いとはいえないうえに、欧米人の参加者はわずかだった。ところが今回は、タイ人による「アジア流リーダーシップ」のセッションや、日本人によるソーシャルラーニングのセッションに多くの欧米人が参加。アジア市場の成長に伴い、欧米人がアジア人と仕事をする機会が増え、アジアにおけるマネジメントやリーダーシップへの理解を深める動機が高まってきたと推測される。
グローバルレベルでのリーダーシップ開発動向の調査発表も豊富だった。AMA(American Management Association:米国マネジメント協会)は昨年に続き、グローバル・リーダーシップ開発調査の結果を報告した(回答数:1750社、56カ国)。
調査結果全体を概観すると、大企業全体の3割はグローバル・リーダーシップ・プログラムを導入しており、特に、高業績企業では6割が導入。高業績企業は、グローバル・リーダーシップ・プログラムに人材育成投資を集中させて、幅広い対象層に対して多額の投資をしていること、企業の長期的競争力向上を目的に、短期的な成果ではなく人材育成効果を上げることを主眼として、積極的にプログラムを自社向けにカスタマイズしていることがわかった。
 DDI社が2年に一度実施している調査「Global Leadership Forecast 2011」(回答数:2679社、74カ国)の発表では、リーダーシップ開発プログラムで焦点を当てる、将来のリーダーシップに求められる必須スキルとして、「変革推進」、「新しい有能な人材の確保」、「イノベーションの推進」が挙げられた。
また、グローバルレベルでトレーニングを提供するCegos Group社(本社:英国)は、ヨーロッパにおける企業内学習トレンドを調査(回答数:2542名、英・独・仏・西・伊の5か国)。注目を集めたのは、欧州においても、すでにモバイルラーニングを使用している人が調査対象者の5分の1(21%)を占め、若い世代を中心に急速に増えていることだ。この結果は、基調講演においてモバイルラーニング推進を主張したASTDの幹部を喜ばせた。

 

-Social Learning(社会知の学習)の進化

 今年のコンセプトの大きな流れの1つとして先述したのが「ソーシャルラーニング」だ。昨年は、ソーシャルメディアを中心にしたITテクノロジーの進化が、人々の学習とリーダーシップに大きな影響を及ぼすことが会議全体を通じて主張された。そして今年は、組織において着々と生まれている実践例が紹介された。
 ASTDのCEOトニー・ビンガム氏の基調講演では、ソーシャルラーニングの手法として「モバイルラーニング(M-Learning)」の推進が提唱された。このモバイルラーニングを導入したヒルトングループの副社長、ブリエンザ氏は、モバイルはクラスルーム型学習の代替ではなく、学習者が学習内容や学習環境を自身でカスタマイズして、個人のライフスタイルにマッチした効果的な学習を実現することができ、ROI向上にも貢献できるパワフルなツールだと述べている。ASTD会員対象の調査でも、すでにAST会員の10%はモバイルラーニングを活用しており、41%が今後活用予定だという。
 さらに、ソーシャルメディアを活用したインフォーマルラーニングの普及拡大に合わせ、その導入成果を考察、測定する試みも始まった。HPIコンサルタントのデニス・マンキン氏は、ソーシャルネットワーキングがパフォーマンス向上に貢献するためには、各職務において明確で測定可能なゴールと、その測定指標の設定が必要だと語る。別のセッションでは、研修のインフォーマルラーニング支援度合の測定手法とその結果が披露されていた。

-日本企業の人事部に送られたメッセージとは

さて、今年のASTD国際会議のテーマから読み取れるのは、組織の枠内で人事や能力開発、組織開発を捉えきれなくなっていることだろう。企業人事は、組織の枠を超えて、どこまで個人一人ひとりの内面や社会にまで取り組む範囲を広げることができるのか、それを課題として投げかけられたように思う。
日本企業以外のグローバルプレーヤーは、最先端の人材開発・組織開発理論や取り組みを押さえたうえで、自社独自の人事上の取り組みを模索している。よって日本企業の人事部が「日本流」という名の下に、国内同業他社同士が互いに事例を共有しているだけでは心許ない。グローバルレベルの情報や動向を押さえ、自社の事業戦略や経営課題に沿って、自社の人事方針、施策に取り組むことが有効だろう。そのためにも、ASTD国際会議は、大量の情報に短期間で触れることのできる貴重な場である。
また、筆者が理事を務めるASTDの日本支部では、ASTD会員が、組織開発、HPI(Human Performance Improvement:人材パフォーマンス改善)、リーダーシップ開発、タレントマネジメントの4つのテーマで調査研究を行う委員会活動を行っている。本年度は6月よりすでに活動を開始しているが、興味のある方は、ASTD International Japanのサイトを見てほしい。